「世界遺産(World Heritage)」は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)で昭和47年(1972)に採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(昭和50年(1975)発効)に基づき、「世界遺産一覧表」に記載された顕著な普遍的な価値を有する文化、自然遺産。
世界各国の遺産を人類全体のための世界の遺産として保護するため、国際的な協力、援助の体制を確立することを目的とし、日本は、平成4年(1992)に締結した。平成30年12月現在で1,092件が登録されており、日本からは17件の文化遺産、4件の自然遺産が登録されている。富山県では相倉集落と菅沼集落が「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として登録されている。
「無形文化遺産」は、UNESCOで平成15年(2003)に採択された「無形文化遺産の保護に関する条約」(平成18年(2006)発効)に基づき、「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載された無形の文化遺産。無形文化遺産の保護と、相互評価の重要性に関する意識の向上を目的に創設。日本は条約作成段階から協力し、平成16年(2004)に締結した。
平成30年12月現在で508件が登録されており、日本からは21件登録されている。富山県では、「山・鉾・屋台行事」として、全国33件の構成文化財のうち「高岡御車山祭の御車山行事」(高岡市)、「魚津のタテモン行事」(魚津市)、「城端神明宮祭の曳山行事」(南砺市)の3件が登録されている。
「日本遺産(Japan Heritage)」は、日本各地域の歴史的な魅力や特色を一つのテーマに沿ってとりまとめたストーリーを文化庁が認定する制度。ストーリーで欠かせない寺社や城郭、祭り、伝統工芸など様々な文化財の魅力を高め、国内外へ積極的にアピールし、地域の活性化を図る目的で、平成27年(2015)に創設された。富山県では3件のストーリーが認定されている。
種類 | 名称 | 登録・認定年月日 | 県内の市町村 |
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世界遺産 | 白川郷・五箇山の合掌造り集落 | 平成7年12月9日 | 南砺市 |
無形文化遺産 | 山・鉾・屋台行事 | 平成28年11月30日 | 高岡市、魚津市、南砺市 |
日本遺産 | 加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡-人、技、心- | 平成27年4月24日 | 高岡市 |
日本遺産 | 荒波を越えた男たちの夢を紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~ | 平成29年4月28日 | 富山市、高岡市(平成30年5月24日追加認定) |
日本遺産 | 宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井波 | 平成30年5月24日 | 南砺市 |
「文化財」は、日本の歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた国民共有の財産で、昭和25年(1950)制定の「文化財保護法」で新しく生まれた言葉である。一般に社寺や仏像、絵画などがまず思い浮かぶが、工芸技術や伝統的な祭り、希少な動植物や自然の景観なども文化財に含まれる。国や地方公共団体では重要なものを、法律や条例に基づき、指定・選定・登録して重点的に保護している。
名称 | 内容 |
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有形文化財 | 目に見えて形がわかる文化財。「建造物」(住宅・寺社・ダム等)、「美術工芸品」(絵画・彫刻・古文書・考古資料等)がある。国にとって重要なものは「重要文化財」、特に重要なものは「国宝」になる。 |
無形文化財 | 目に見えない文化財。細かい金属の細工をする技術など古くから伝わる技術。この技術を現在伝えている人を「保持者」として認定し、一般には「人間国宝」と言われている。 |
民俗文化財 | 昔の人が着ていた衣服や使っていた道具など、当時の生活や生業の様子を伝えるものは「有形民俗文化財」、昔から伝わっている唄や踊りなどは「無形民俗文化財」になる。 |
記念物 | 昔の人が住んだり使ったりした跡が地面に残っているものは「史跡」、美しい庭園や山海の景色などは「名勝」、貴重な動物、植物、地層や岩石などは「天然記念物」になる。特に重要なものは「特別史跡」となり、記念物の「国宝」にあたる。 |
文化的景観 | 農村や漁村など、ある地域の人々の生活や生業とその土地の自然や風土によって生み出された景観を「文化的景観」という。国に選定されたものは「重要文化的景観」となる。 |
伝統的建造物群保存地区 | 城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る、古い家や蔵などの建造物が建ち並ぶ歴史的な集落・町並み。国に選定されたものを特に「重要伝統的建造物群保存地区」となる。 |
埋蔵文化財 | 地面の下に埋もれている昔の人々の生活の痕跡。発掘調査をすることで、地域の歴史や文化を明らかにでき、重要なものは、土地が「史跡」に、出土品が「重要文化財(考古資料)」に指定されることもある。 |