五箇山は、南砺市南西部を流れる庄川流域の5つの地域の総称。江戸時代に加賀前田家の領地となり、塩硝や養蚕、和紙などの生業が生活を支えたが、昭和中期にかけて徐々に農業を中心とした生業に転換し、今に至る農村景観ができあがった。
世界遺産「五箇山の合掌造り集落」
平成7年(1995)、五箇山の「相倉集落」と「菅沼集落」は、岐阜県白川郷の「荻町集落」とともに世界遺産に登録された。合掌造りは庄川周辺の限られた地域でしか見られない民家形式で、それぞれ大規模(荻町)、中規模(相倉)、小規模(菅沼)の集落の代表例であって、歴史的な景観を留める貴重な集落である。これらは、世界遺産登録基準の、(ⅳ)歴史上の重要な段階を物語る建築物やその集合体、景観を代表する顕著な見本で、(ⅴ)ある文化を特徴づける伝統的居住形態と土地利用形態を代表する顕著な見本であることに該当し、世界的な価値があると評価された。
南砺市提供
相倉集落は、庄川左岸の緩やかな斜面にある中規模の合掌造り集落。32棟の家屋のうち20棟が江戸~大正時代に建てられた合掌造り家屋である。起伏のある相倉では石積みで屋敷地をつくり家屋や土蔵を建て、離れた所に板倉を置く、五箇山らしい屋敷構えとなっている。
駐車場から伸びる舗装路は昭和33年(1958)にできた道で、集落の北東から南西に延びた小道が昭和初期までのメインストリートだった「城端往来(五箇山街道)」である。道や家屋のまわりの水田は、小さく形も様々だが、元は蚕の餌となる桑の畑だった。このほか、浄土真宗「相念寺」、布教場で集会場ともなった「西方道場」といった宗教建築は、入母屋の茅葺屋根建物で、合掌造りとは一味違った趣がある。
相倉は、合掌造り家屋やそれを改造した茅葺・瓦葺屋根の家屋など、昭和中期までに建築・改築された建物の移り変わりを見ることができ、さながら「民家の博物館」である。多様な建築と集落の景観から、古きよき日本の面影を感じることができる。
菅沼集落は、赤尾谷北部の庄川沿いの平坦地(シマ)にある小規模の合掌造り集落。12棟の家屋のうち9棟が江戸末期~大正時代の合掌造り家屋で、シマの南東寄りに建てられている。
集落の北の「神明社」は国道建設時に移設されたもので杉林に覆われる。板倉や土蔵は火事の延焼を防ぐため家から離れ、3棟ある合掌造りの板倉は相倉にも残っていない希少なものである。
峡谷にある菅沼には北西~北の強風が吹くので、家屋の軸が北西または北を向き、家屋周辺の木々や神明社の杉林が強風を防いでいる。水田に映える合掌造り家屋、道端の草花、山の景色など四季折々の風景が訪れる人の目を楽しませ、菅沼独特の雰囲気を醸し出している。
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