杉沢の沢スギ
黒部川扇状地末端の豊富な湧水地に立地するスギを中心とする林で、多くは日本海側に生育するアシウスギの一種である立山スギとされる。かつては入善町の沿岸に約130haも広がっていたが、農地整備で伐採され、2.67haのみが保存・指定されている。
林内は、扇状地の砂礫層や高い地下水位が障害となり、栄養が少なく、地中深くまで根が張れないなど、樹木が生育する条件は決して良いものでない。スギは根を横に伸ばし平板状に広げ、隣り合うスギの根と複雑に絡み合い、ライバルの少ないこの環境に適応してきた。 また、「伏条更新」とよばれる、スギの根本から萌芽した幼苗が雪の重みなどで倒れ、曲がった部分から根が出て新しい株に成長するという現象もみられる。伏条更新は、通常は高山でみられる現象で、平地で観察できるのは珍しく、杉沢の沢スギの特徴になっている。かつては、人がこの現象を利用して、新しい株を増やすことも行っており、身近な「生活の森」としての側面もあった。
さらに、林内には、自生の北限とみられるマンリョウ・カラタチバナ・オモト・トキワアケビなどの暖温帯系の植物のほか、キンコウカ・オオバツツジなど山地性の植物、ギボウシラン・サギソウ・モウセンゴケなどの湿地性の植物など多種多様な植物が自生し、きわめて特異な群落を構成している。
名称 | 杉沢の沢スギ(すぎさわのさわすぎ) | ||
---|---|---|---|
指定区分 | 国 | 指定種別 | 天然記念物 |
種類 | 指定・登録日 | 昭和48年(1973)8月4日 | |
市町村 | 入善町 | 所在地 | 吉原 |
所有・管理 | 入善町 | 員数 | |
構造 | 年代 | ||
リンク |